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東尋坊

 貫入岩体の柱状節理
 名勝・東尋坊です。この断崖絶壁の岩場をつくる岩石は火山岩(デイサイト)です。まるでお餅のような形状で地層中に貫入したマグマが冷え固まってできたと考えられています(吉澤,2005)。その年代は約1,300万年前といわれています(東野・清水,1987)。貫入岩体が波による侵食をうけ,現在のような岩場になっています(写真1,2)。ここでは四角~五角柱を束ねたような柱状節理(マグマが冷え固まる際の体積収縮によって形成される柱状の割れ目)が発達しています。ローソク岩(写真3)は,柱状節理に沿って岩体が侵食されてできたものです。東尋坊の岩場には散策路が設置されているので,歩きながら柱状節理を観察してみましょう。柱の断面を観察することができます(写真4,5)。
 散策路を下まで行くと『千丈敷』と呼ばれる平らな場所にたどり着きます(写真6,7)。ここの柱状節理の幅は,東尋坊貫入岩体の中でも最大(4 m以上)であり,東尋坊貫入岩体の南端のもの(20 cm程度)と比べると明らかに大きいことがわかります(吉澤,2005)。貫入岩体では中央部に近いほどゆっくり冷やされ,縁や端に近いほどはやく冷やされます。そして柱状節理の幅はゆっくり冷やされるほど大きくなります。千丈敷の柱状節理の幅が東尋坊貫入岩体の他の場所よりも大きいということは,ここが貫入岩体の中央部に近いということを示しています(吉澤,2005)。
  写真1.荒磯遊歩道から見た東尋坊貫入岩体.むこうに雄島がみえる.

 写真2.荒磯遊歩道から見た東尋坊貫入岩体 2
 写真3.波による侵食でできた『ローソク岩』.
 
 写真4.遊覧船乗り場付近.四角~五角柱の断面が見える.
 
 写真5.散策路からみた柱状節理. 
 写真6.『千丈敷』にみられる柱の断面. 
 写真7.『千丈敷』付近. 

引用文献
東野外志男・清水智(1987)福井県三国海岸に産出する火山岩類のK-Ar年代.石川県白山自然保護センター研報,14,25-30. LINK
吉澤康暢(2005)東尋坊安山岩質貫入岩体の産状と構造.福井市自然史博物館研究報告,52,13-27. LINK