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磁石岩

 落雷の痕跡
 雄島の遊歩道を歩いて島の北東部へ行くと『磁石岩』があります。磁石岩とは,非常に強く磁化された岩石のことです。この場所に露出している岩石は,柱状節理と板状節理が特徴的で,見た目にはその他の場所の雄島の溶岩と大きな違いはありません(写真1)。しかし,この場所の“ある地点”の溶岩は方位磁針を大きく狂わせます。方位磁針を近付けると,N極が北とは全く異なる方向を指します。さらに,その指す方向は,方位磁針を数cmずらしただけで変化します。方位磁針の指す方向を矢印で書いてみるとよくわかります(写真2)。
 通常,溶岩が冷え固まる際,溶岩中の磁性鉱物(磁石につく鉱物)は当時の地球磁場の方向に磁化されます。その磁力は一般的にはあまり強くないため,方位磁針で感知できる程ではありません。ではなぜこの場所の溶岩は局所的に強く磁化されているのでしょうか。その原因の一つとして「落雷」が考えられます。落雷によって強い電流が流れ,強い磁場が生じ,それによって岩石が強く磁化されたということです。つまり落雷の痕跡であると考えられます。
 写真1.傾いた板状節理とそれに対し垂直な柱状節理.  写真2.方位磁針を近付け,N極が指す向きを書き込む.