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弁慶の抜け穴

 未固結な堆積物と溶岩流の接触
 ここでは,越前松島溶岩の底の部分(溶岩基底部)を観察することができます。黄色っぽい堆積岩(凝灰質砂岩)の上に黒っぽい色の溶岩が重なっています。溶岩の上部には柱状節理が発達しています(写真1)。溶岩と堆積岩の境界のあたりをみると,堆積岩が溶岩の重みで変形しているのがわかります(写真2)。このことは,溶岩が流れてきた当時,堆積岩はまだやわらかかった(未固結だった)ことを示しています。一方,接触部のあたりでは溶岩は砕けています。これは,熱い溶岩が水を含んだ堆積物と接触したために急に冷やされて(急冷して)砕けたことを物語っています。砂が堆積している水中に「バリバリ」と砕けながら流れ込んでくる熱い溶岩流が想像できるでしょうか。
 写真1.下位より堆積岩,破砕した溶岩(火山角礫岩),柱状節理の発達した
 溶岩.破砕した溶岩と柱状節理の発達した溶岩は一連.
 写真2.破砕した溶岩と堆積岩の境界. 
 
 離水海食洞
 ここでは,離水した海食洞を観察することができます。海食洞は波の作用によって海水面付近に形成される奥行の深い洞窟です。その海食洞が海水準変動や隆起に伴って離水したものが,写真3・4 のような離水海食洞です。この海食洞は N60°W の方向に開口していて,総延長は 20m 以上です。天井を見上げると,溶岩の柱状節理の断面をみることができます。しかし落石には十分注意する必要があります。
 写真3.弁慶の抜け穴の離水海食洞.   写真4.離水海食洞の天井にみられる柱状節理の断面.